無料

みどりの日とかこどもの日とか都民の日とか、施設入場料が無料だったりする。以前何の気なしに出かけて、実はそうだった!なんてことがあって、その後ネットで情報検索するのもごく普通の事になって、そうして調べてみれば結構あっちの公園だとかこっちの動物園だとか、入場無料なのだった。
無料につられていくほど入場料金が高額だなんていうことはない。予めおにぎりでも握っておけば、お茶の用意もしておけば、何処へも寄らず真っ直ぐ帰れば、などと考えると、思いつきのままに出掛かれば妙に余計な出費は必ずある。それを思えば。
単に理由付け、言い訳、照れ隠し。そんなもんか。
さすがに長男は付き合ってはくれなかったけれど、つらつら思い返せばここ数年そうしてなんとなく出かけるなんてことは全然していなかった。行楽というのかな?以前は結構頻繁だったのに。
それはやはり親の私たちに余裕がなかったのだった。それはもう本当に、余裕がなかったのだった。物理的にも金銭的にも精神的にも。そして今その余裕が少しでも戻ってきたのかというとそんなことはなくて、むしろ更にある意味切羽詰ってるという面もなくはないのだけれど。言ってみれば吹っ切ったというか開き直ったというか。
「今日ね、すっごく楽しかった!」
そんな風に満面の笑顔を向ける我が子を見ると、胸の奥が熱くて痛くなる。それは『彼の(子どもの)』というよりは『私の(親の)』、憶えておきたい大切な思い出になるのだよ。